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土曜の是清  第6回です

korekiyo.gif ←忘れた方のため、これがテキストです。
処世一家言 高橋是清 述 昭和10年
シリーズ10回予定も折り返しです。バックナンバーはこちら。
シリーズ 昭和恐慌を乗り越えた一家言(第1回) 6/3
第2回 是清一家言 6/8
第3回 是清一家言 6/11
週刊 高橋是清 第4回です。 6/19
週刊 高橋是清 第5回です。 6/27

第6話 誠の道を踏めば飢ゆることなし

 栄枯盛衰は人生の常である。順境は、いつまでも続くものではなく、逆境も、心の持ちよう一つで、これを転じて順境たらしめることも出来る。境遇の順逆は、心の構え方一つで、どうにでも変化するものである。
 ←いいですね、心の構え方、表現自体に覚悟が備わっています。

 ただ困るのは、薄志弱行の徒輩だ。彼らは、一度困難に遭い、逆境に陥ると、たちまち依頼心を起こし、他人の恵沢(めぐみ)によってその運命を拓(ひら)かんとし、それがうまく行かぬと、直ちにこれを天命と思い込み、不平をいだき、自暴自棄となり、堕落していく。独立自助、自分の額に汗して、自らその進路を切り開いていこうとしない。こういう人は、よし順境にあっても、長くその恵みを受けることが出来ないで、逆境に陥ってしまう。一端逆境に陥っては、再び浮かぶ瀬がなくなるのである。 ←人への依存心、依頼心「なんとかしてくださいよ~」ってところでしょう。これがダメだと「俺ってついてないよな」とか、外部要因と諦めの間に、自助努力があったのか。シビアです。
 わが輩は、近頃の青年が、世路難を嘆ずるのを聞くごとに、彼等に果たして独立自助の大精神があるか、疑わざるを得ないのである。顧みれば、わが輩なども、前半生においては、実に種々の逆境を経験してきた。
 かつて好調の品行問題に関して、外国語学校の教授を辞職したときの如きは、つぶさに逆境の苦痛を嘗めなければならなかった。そのとき問題の起こると共に、わが輩は直ちに、教職の辞任を決意し、微力ながらも、一身を校風維持のために投じたのであった。だから目的の貫徹すると共に、わが輩も辞職してしまったが、といって当時、これにとって代わるべき職業などのありよう筈はない。当分の生活を支えるだけの貯蓄もなかった。辞職の日から、すぐさま収入の道はなくなるし、生活の資には窮するし、月末になっても米塩の代を払う金さえも無かった。覚悟の上とはいいながら、一時はまったく途方に暮れざるを得なかった。だが、わが輩は辞職したことを、少しも後悔しなかった。男子の意気地として当にかくあるべしと思って居った。また、困窮を感じても、決して不平を起こしたり、失望したりはしなかった。というのは、当時すでに一つの信仰をもっていたからである。それは明治二年、わが輩が森有礼さんの紹介で、当時大学南校の教頭であったフルベッキ先生の書生をしていた頃、毎日耽読していた聖書の中に、
「天は空飛ぶ鳥をさえ飢えさせぬ。ましてや万物の霊長たる人間の誠の道さへ踏んで行くならば、飢えることなどのあるべきものではない。」という意味の一句があった。わが輩はこの句に深く感激し、心の信仰とした。人間は、誠の道を踏んで働きさえすれば、どんな人でも不自由なく生活することが出来る。天は何人にでも、働くものには必ず衣食の料を与えるものであるという信念が、深く頭脳(あたま)の中に沁み込んでいた。貯蓄のないわが輩が、辞職して収入の道を失えば、立ちどころに困る位のことは、よく知っていた。知っていて、しかも辞職したのは、人間の労働の偉大なることの確信があったからである。だから、一時収入を失い、衣食に窮しても、失望もしなければ、不平も起こさずに済んだのである。


 少し長いと思いましたが、本稿は物語として略す部分がなく、全文引用しました。読み進めばわかるとおり、信仰とは信念であり、聖書の中に「ヒント」を見つけ、確信を持っているから将来を悲観していない。「天は自らを助けるものを助く」自力本願であり、夢想的なようでリアリストであることが分かります。成功者だからいえることかもしれませんが、信念があってこその成功ともいえると思います。

今回は(も)退屈な話だったかもしれません。息抜きに下記リンクをご紹介します。こんなところにフルベッキ先生が登場すると思いませんでした。

謎のフルベッキ写真

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