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放屁自由

 大幅に更新が遅くなり失礼しました。暫く間が空きましたが、色々な人と情報交換し、色々な資料を入手し、風邪で寝込むついでに色々考えていました。改めまして皆さんに驚くような話やしみじみするような話題を提供できればと思います。

 今回は息抜きです。 寝付けない人のために寝る方法。心理学も学んだ筒井康隆氏も「寝る方法」というナンセンスな短編(所収は何でしたか)で笑わせてくれ、「いかにして眠るか」光文社1980でアンソロジーを編んでいます。

美人の美は焔の光之図

 さて、変な本もあったものです。 
「変態妙文集」 内海弘蔵編著 昭和二年 文芸資料研究会
アンソロジーです。編者は国文学者ですが、明治大学野球部を創設し六大学リーグを立ち上げ野球の発展に尽くした功績のほうが有名なようです。

 「変態」について、「常態=ノーマル」に対して、変わった視点、突飛な発想の妙、と言う程度で使用していると思います。清少納言、兼好法師、一休禅師、西鶴、馬琴、十返舎、漱石、そうそうたる顔ぶれのユーモア或いはナンセンスな掌編を紹介しています。

 上の図は口絵より「美人の美は焔の瞬きの光の図」派手に着飾った若い芸者を派手にはべらせて馬鹿騒ぎもみんな同じ骸骨ですよ、暇ですね。という絵柄ですが、皮肉や虚無感よりもやはりからかっているだけのような軽妙な感じがします。編集ポリシーとして分かりやすいと思い掲載しました。
 表題「放屁自由」は俳句同人誌ホトトギスで客観写生の新風を起こした高浜虚子の「屁」という掌編に付けられたキャプション。編者はそれぞれの短文の選考理由を一言で寄せています。以下延々と引用します。(著作権について問題ないと考えていますが支障があるようでしたら削除訂正いたします

 屁 高浜虚子

 或夜どうしても寝られぬ。一時を聞く、まだ寝られぬ。二時を聞く、まだ寝られぬ。どうかして寝たいと思うと愈寝られぬ。或僧に教わったとおり南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏とお念仏を唱えて見る、ますます寝られぬ。アア弱ったナァ。と思っていると、ふと横腹が突っ張ってくるようぢゃ。放屁を催したのである。 そこでふと斯ういう事を思いつく。これから屁を十だけ奮発して放って見よう其のうちには必ず草臥れて眠るようになるであろう。そう決心すると間も無く、第一発を放す。いかにも冷性なやつが無造作にスーと出る。しかも其のスーがあまり短いほうではない。可也残して置くようにせぬと後が困ると思ったが、長い尾を引いて残り無く出てしまう。そこで第二発の工夫をする、徐に乳の下あたりから腹を撫で下ろす。腸の紆余監梅を考えて臍の周囲を撫でまわす。程なく何処かに固まりが出来たようで、だんだん其の固まりが大きくなって来るようで、終いに首尾よく第二発を放す。まだ下腹部に一点の凝りが残って居る。第二発は第一発ほど無造作で無かったのでホンの貯えがあるらしい。今度は右の手に充分の力を籠めてウンと推す。キュッと音を発して痛快なやつが出た。しかしながら第四発に至って漸く困難を感じてくる。まず両手を握り締めてお灸の暑さをこらえるというそぶりをして見る。全身に力を入れ殊に下腹に一生懸命の力を籠めて見る。非常に熱性のやつが辛うじて出る。がっかりして暫く半醒半睡の状にある。ふと覚醒して更に第五発の工夫にかかる。今度は腹這うようになって見る。両手で頭をかかえて尻を高く突き上げて見る。どういう筋肉の働きか無造作に一つ出る。此の成功に勇気を得て更に尻を一段高く突き上げて見る。今度は旨く行かぬ。体をひねるようにして見るが更に効きが無い。そこで握り拳で局所を叩いて見る。始めは左側だけを叩いたが効きが見えぬのでので右側を叩いて見る。又左右交番に叩いて見る。漸くのことでプップップップッと出る。がっかりして転げるように仰向けになる。全身に甚だ疲労を覚える。欠伸が出る。涙がポロポロとこぼれる。少しうとうとしたかと思うと、自然に幽霊のような九発であったかと朧ろ気ながら考える。果たしてこの思いつきは功を奏して、第十発に達せぬうちに熟睡することが出来た。翌朝十一時まで寝た。

 以上、此の人、一回寝かかってますが気を取り直して再起しています。

 ということで、まるまる引用しましたが、怒られないか不安です。大変テンポがよく、観察眼と言語感覚がとてもイイ調子です。旧仮名遣い、旧字体でご紹介できれば妙味も更に味わい深いのですが、自分のスキルではこれが精一杯ですので。俳人であり小説家であるというと現代では小林恭二氏も大変独特のメタフィクション的なユーモアで高い評価を受けていますが、「描写」ということは俳句の客観的な写生から来ているのかな、と思ったりしました。
ゼウスガーデン衰亡史 (ハルキ文庫)ゼウスガーデン衰亡史 (ハルキ文庫)
(1999/11)
小林 恭二

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 冒頭に紹介した筒井康隆氏もジャズ愛好家で知られ、スウィングするリズム感やテンポで独特の言語世界を構築していますね、「寝る方法」は所収を忘れたので別の本をご紹介させてください。
虚航船団 (新潮文庫)虚航船団 (新潮文庫)
(1992/08)
筒井 康隆

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テーマ : 温故知新
ジャンル : 学問・文化・芸術

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