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火災報知機の経済効果

 東京ホチーキ  ←東京報知機㈱(現ホーチキ)カタログ 昭和2年以降*


東京ホチーキPR ←大日本消防 昭和2年7月号 広告
※広告内 宣伝文 MM式火災報知機
火事が
屋根に燃え抜けてからやっと / 火の見櫓で見つけたり あはてて / 電話で誤報したりするよりも
小火のうちにボタン一つ押すと / 直ぐ消防署へ通じポンプが駆け付けて来る /火災報知機をおすすめ致します。

宮城各御殿を始め
東京全市街 / 横浜全市街 / 函館全市街 / 其他各官署 / 
合計千九百余台設置の火災報知機

火災報知機 FIRE ALARM
公衆用火災報知機 / 構内用火災報知機 / 自働火災報知機
以下 社名 住所 電話番号

*上部カタログ内の設置実績台数が二千三百余台に増加しているので昭和2年以降としました。




 まずは宣伝文に踊る設置意義のPRをご堪能下さい。

 さて、上部カタログ中より、火災報知機黎明期の経済効果が挙げられていますので、抜粋して紹介します。

1)火災報知機の使命
 ・火災損害・・・出火回数、損害額は文化に比例して益々増加傾向(統計上)
 ・損害の大部分は延焼、火元だけで消し止められれば莫大な損害は無い
 ・大正10年の火災1回あたり損害額 シカゴ市・・・652円 / 東京市・・・10,036円
 ・火元より延焼した頻度 シカゴは2% / 東京は16.7%

 ↓   ↓   ↓   ↓   ↓

 ・火事は最初の1分間・・・初期消火が一番
 ・早期発見早期通報が肝要
 ・従来の火の見櫓からの監視では、発見する時は火が屋根を燃え抜けた時、手遅れ
 ・電話通報の際、交換手が出られないこと多く、消防隊への連絡先も混乱で間違える

 ↓   ↓   ↓   ↓   ↓

 ・電気作用の通報機関、すなわち火災報知機が発明された
 
2)函館市の使用実例
①大正元年から12年までの12年間(火災報知機設置以前の成績)
 火災損害額総計   22,812,096円  / 1年平均 1,901,008円

②大正14・15年 2ヵ年 (火災報知機設置以後の成績) 
 火災損害額総計   252,007円  /  1年平均  126,004円

・・・即ち火災報知機設置後の損害額は、設置以前の約15分の1
※大正13年は設置移行期の為、省略

3)宮城の火災報知機(数値データではないですが貴重なものを守るメーカー姿勢です)
 宮城には現在47台のMM式火災報知機を設置せられ、万一に備えてあります。宮内省が報知機の選定に就いては十二分に手を尽くされ、現代知名の電気学者に諮問せられ、且つ厳重なる審査を遂げられた結果、我がMM式火災報知機ご採用の光栄を負うたのであります。
 宮城内火災報知機設置場所
 宮城内の事に筆を触るるは畏れ多いことでありますが、謹んで御設置場所だけでも拝載致します。
・・・中略 畏れ多い避難経路です ・・・
 受信機は皇宮警察所及び??自動車置き場の二ヶ所に設置せられ、報知機は時々、定期試験、不時試験等を行いて常に完全なる状態に保たれて居ります。
※法定点検義務化より以前、設置初号機より完全なメンテナンス体制です。

4)本社の内容(会社概要)
 警視庁の特別なるご後援の許に、我国一流の火災保険会社が発起人となり、左記会社及び有志数十名株主となって大正7年4月2日 資本金100万円の我が社を成立するに至ったのであります。

東京海上火災保険株式会社 帝国火災保険株式会社 日本火災保険株式会社 日章火災海上再保険株式会社 共同火災保険株式会社・・・・以下略、(筆者注目中の澁澤同族株式会社を含む)

※被害軽減は消防を所管する警視庁(当時)も民間である火災保険会社にも切実であり、明治経済を牽引した澁澤翁も関わっている(別項エントリ予定、金融、エネルギー、インフラを含めた500社以上の創業に関係した)。設立目的や出資者から火災予防に関わる国策企業であったと考えてもあながち大袈裟ではないと思います。




 上に掲げたデータで火災報知機の経済効果について、語ったつもりですが、如何でしたでしょうか。残念ながら前向きなメリットという側面からではなく、設置したから被害額が1/15に!と言うことです。

 火災保険会社が出資の殆どと言っても過言ではありませんが、損害額の低減イコールで火災保険料が安価になったという経緯もあります。現在でも火災報知機設置施設と未設置施設では料率が違い、任意で火災訓練などの頻度を上げ防災計画の精度を高めることで、ランニングコストを下げるといった交渉が盛んになされています。経費節減の目の付け所には成っているようですね。

 さて、当社は消防施設工事業として多くの得意先の皆様に消防設備の設計・施工・メンテナンスでお世話になっていますが、よくお客様からのご意見で万が一のために掛けるコストは無い、効果が目に見えないものにお金は掛けられないと伺います。特にこのような経済状況のなか、できることなら勘弁して!というお客様も少なからずいらっしゃることと存じます。まずはコンプライアンス遵守のなかでご理解いただいていますが、消防法の性格、法改正の経緯についてをキッカケに防災思想とは何か、消防設備は何を守っているのかお話したいと思います。


関連エントリ
1)行ってきました!火消しのお仕事 近代消防の成り立ち、共同体の出火責任についての考察
2)最期の龍吐水師 消防組織と防災メーカーの出発点についての考察
3)渋川高齢者施設火災について 大規模火災と法改正、遡及法について考察

※また自分への宿題を課してしまいますが、住宅用火災警報器の設置期限まであと1ヶ月になります。これについても設置前後のデータがありますので、エントリ予定とします。設置義務と火災保険の関連について調べて見ようと思っています。乞うご期待。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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No title

火災保険会社の出資で設立されていたんですね、なるほど。
住宅用火災警報器の普及率は静岡県内では30.6%と新聞に載っていましたが、東京は69.7%、徳島は7.4%と結構地域格差があるようです。

Re: No title

> 火災保険会社の出資で設立されていたんですね、なるほど。
> 住宅用火災警報器の普及率は静岡県内では30.6%と新聞に載っていましたが、東京は69.7%、徳島は7.4%と結構地域格差があるようです。
 コメントありがとうございます。
静岡市の消防本部さん、市としては45%、と言いたいところですが、誤差を見て40%と発表しているとのこと。浜松は苦戦、、、都市部で牽引できるよう努力したいと思います。
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旅を仕事にしたい今日この頃。

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