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オオカミ復活 その2

ooguchi.gif   ooguchimagami.gif 

盗難よけのお札 東京板橋区(日本民俗図録 柳田国男監修 民俗学研究所編 昭和30年 朝日新聞社)zuroku.gif  あ、お札は私蔵です。


オオカミは鹿や猪などの害獣を捕食する生態系のTOPでしたから、焼畑などの農耕・豊作の神様でした。火難盗難除けとして信仰を集めました。武蔵国御嶽神社大口真神のお札です。また秩父は御嶽神社も同様の信仰をもっています。どちらも関東のこと、いずれ行きたいな、と言う程度で詳細は知識不足です。済みません。

上の写真にそっと紛れ込ませた 山住神社のお札 浜松市天竜区水窪町です。先日 池の平に幻の池が出現 したところです。こちらは直ぐ近くの春野町に火防の総本山 秋葉神社があるためでしょうか、火難までは言及していません。

ここで、オオカミと山犬について。いわゆる絶滅種のニホンオオカミと山犬を同一視、あるいは混同しているのか、あるいは野生化した犬も山犬と呼ばれ、混乱していった経緯があるそうです。近代的な分類調査がはじまる前に絶滅してしまった残念な事例のようです。江戸の後期に狂犬病が流行った折りに、特にオオカミの耐性が弱く、凶暴化して駆除されたこと、エゾオオカミの絶滅理由と同じですが、牧畜がはじまったころに家畜を襲う害獣になって駆除対象になったことなど、上に引用した写真が柳田国男先生監修なので、あやかって言えば零落した神という末路。

零落した経緯を辿ると興味深いのが山住神社がどこから来た神様であるか。上のリンクから引用します。

① 和銅2年(709)伊予の大山祇神(おおやまづみのかみ)を勧請して山住(やまずみ)大権現と称した。
 当初は、勝坂、あるいは門桁、あるいは宮川に創建された後、現在地に遷座したという。


② 徳川家康が武田勢に追われ山住に逃げ込んだ時、山全体が鳴動し、ウォーウォーという山犬の大音声がおこり、
 武田勢を退散させた。以来、徳川家康の崇敬を受けたという。そのためだろうか、当社の神紋は葵の紋だ。

 徳川家康を助けた山犬の声でも明白だが、当社は、山犬(狼)信仰の神社。当社の神札には、山犬様が描かれている。

③ 山犬(狼)は、農作物を荒らす猪や鹿を退治する益獣であり、焼畑の作物の守り神。
 奥三河一帯には、山住神社の山犬信仰が浸透しているという。
 昭和27年の佐久間ダム建設の時、周囲の猪が、いっせいに愛知県東栄町方面へ移動し、作物に多大な被害を
 与えた。この時にも、猪害をさけるため、小字単位で山住の小祠を作って祀ったという。

 猪退治の山犬信仰は、その後、悪霊除け、猿除けへと拡大した。


②③は、厚い信仰の後ろ盾になった出来事と、ダムの建設による猪の移動から信仰の分散という面白い現象が見て取れると思います。徳川家康公の威光といえば、秋葉神社秋葉大権現の神仏習合から明治の神仏分離のおりに、秋葉大権現の総本殿可睡斎(袋井市)は葵の御紋で廃寺を免れています。こちらは火伏せの天狗で一項を設けますので改めて。

さて、① 伊予の国(愛媛)から勧請した大山祇神 とありますが、「 御祭神 大山積大神  御祭神大山積大神は天照大神の兄神で山の神々の親神に当り(古事記・日本書紀)天孫瓊々杵尊の皇妃となられた木花開耶姫命の父神にあたる日本民族の祖神として、和多志大神(伊豫國風土記)と申し上げる。海上安全の守護神である」、、、民族の祖神ですが、ここにオオカミの痕跡はありません。「四国の民間信仰」昭和48明玄書房という本では、四国一帯の伝承のなか、各県の犬神とオオカミの伝承について詳しく書いています。愛媛に限定して抜粋しても、流行り病や祟り神、荒神さまなどの鎮める対象の恐ろしい神様が沢山ある中で、オオカミは駆除の対象に早い段階から堕してしまったようです。例えば、全国的にある送り狼についても、「狼は妊婦や月のものの女性を食い殺す」という前提がつき、送ってくれたヤマイヌに御礼をするというパターンも難を避ける趣きがあります。

shiko1.gif  maga4.gif 齧歯類にしか見えない犬神@土佐


山中や峠道を通る人にとり憑いて、いろいろと災難を掛ける魔物伝承が愛媛には多くあるそうで、ヤマイヌももつき物の代表格として第一に紹介されています。

伊予郡中山町の(その名も!)犬寄峠での飛脚のはなし。
夜、山道を魚を網袋に入れて歩いていると、急に背中が重くなる。変だなと思いながら歩き続けると、背中でドスンと音が。驚いて振り返ると暗闇に眼だけがピカリと光る。それが山犬。背中の網袋の魚は無くなっている。山犬が食べてしまったと言う。山犬に憑かれないようにするには、夜道では煙草を吸う、火を焚くなど。

南宇和郡内海村柏では、山犬は狼でなく(もはや)魔物であり、憑かれると人の後になり先になりしてついて来る。「家に帰ったら豆で飯を炊いてやるから、トギ(お供)してくれ」というとついて来ない(!)

葬式や出産の儀式に参列すると魔物が憑きやすいとして、山犬が魔物から守ってくれるという伝承もあり(ついで書きですが、こちらが古い痕跡だと思います。

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犬神筋の家族が虐げられる悲しい映画。「エクソシスト」が流行って日本からの回答。土着ホラーです。現代人、都会人は只只ズルくて自業自得な展開ですが、四国の伝承に材を取った犬神の儀式が出てきます。驚愕のラストは必見。

神獣としての描かれ方(上のお札)の力強さと、その他の描かれ方。土佐のネズミのような描写は抜きにして、「狼-その生態と歴史-」から。

maga1.gif 宝暦8(1758)の正確なスケッチ


maga3.gif maga2.gif 二点とも害獣としての描写

正確なスケッチから、神獣か病狼であるか、デフォルメされていきます。こういっちゃ何ですが、環境問題や捕鯨問題に対する諦念のような気分がご理解いただけるでしょうか。(以下、もうちょっと続く)

オオカミ復活なるか その1
 はコチラ
8/11追記;こんなものもあります。
山住煙草入れ 江戸後期~明治の男の御洒落 煙草入れ
山住vs野晒 根付 野晒しに齧りつく狼

テーマ : 博物学・自然・生き物
ジャンル : 学問・文化・芸術

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