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続 関東大震災 復興

 「震災復興と文化変容」関東大震災(1923年)後の横浜・東京より、やっと関東大震災のお話しです。

 また脱線からでよろしいでしょうか。 凌雲閣 凌雲閣被災 左図クリック願います。
凌雲閣(浅草十二階の美観を誇った頃の錦絵と震災直後の絵葉書です。
それぞれ江戸川乱歩の幻想的な短編「押絵と旅する男」の情景、荒俣宏の「帝都物語」の悪魔的な帝都破壊状況のイメージ補助にもなると思います。尚、小説とはいえ前回ご紹介した後藤新平も含めて被災状況から帝都復興計画も丁寧に取材されていますので震災への理解も進むと思います。
江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男 (光文社文庫)江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男 (光文社文庫)
(2005/01/12)
江戸川 乱歩

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帝都物語〈第壱番〉 (角川文庫)帝都物語〈第壱番〉 (角川文庫)
(1995/05)
荒俣 宏

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 ところで、この絵葉書、「震災復興絵葉書10枚組」として東京府が復興資金確保の為に発行したものです。凌雲閣のほかには大火災の様子や国鉄の波打つレール、崩れた築地など生々しい被災状況を窺う事ができます。大正当時の国内外の景気状況をウィキペディアでさらっと俯瞰しますと、米騒動や第一次大戦後の不況など大変な時期の被災であり、このような景気のなか、国家予算が15億であった頃の被害総額45億円の損害があったと日銀が推計していました。仙台市から義捐金4万円(現在だと2億くらいでしょうか?詳しくないので済みません)という動きも全国的にあったのでしょう。また緊急勅令として手形の不良債権化を防ぐ為震災手形の2年間の猶予や政府保証などあらゆる手段を講じましたが、結局は不良債権化が進み昭和恐慌・世界恐慌の流れとなりました。

 こういった流れを理解していただきましたら、拙ブログのアプローチ方法、当時モノの書籍から復興への官民一丸となった先人の取組みをご紹介したいと思います。

 まずは参考または引用する書籍について

1)新東京繁昌記 水島 爾保布(みずしま におう) 大正13年 日本評論者 発売禁止改訂版
2)大正震災美績 東京府 大正13年 非売品

 個別のエピソード抽出はボリュームの関係で、其々の書名にてエントリする予定。
今回は出版物そのものの性格や意義についてご紹介します。

1)新東京繁昌記について
 探せばあるものですね。筑摩書房より抄録版として刊行されていました。「抄録」ということで選り抜きのオイシイところを掻い摘んで楽しめると思います。底本としているものが発禁前のオリジナルかどうか分かりませんが、仮名遣いや解説など読みやすいことは確実でしょう。文体や仮名遣いは勿論、装丁や口絵まで当時の感覚で味わいたいので古本屋通いが止められない、とここまで余談。下の写真が装丁と口絵です。繁昌記
繁昌記口絵

 折角なので抄録はコチラ
新東京繁昌記(抄)新東京繁昌記(抄)
(2001/12/10)
水島 爾保布

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内容(「BOOK」データベースより)
画家であり、小説家であり、随筆家であり、また、ジャーナリストでもあった、水島爾保布が関東大震災後の復興間もない東京をヴィヴィッドに描いたルポルタージュを抄録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
水島 爾保布
明治17(1884)年、東京下谷根岸生まれ。画家、小説家、随筆家。明治41年に東京美術学校日本画科卒業。代表作に『東海道五十三次』がある。武林無想庵らの同人誌「モザイク」に参加して小説や戯曲を発表したり、長谷川如是閑らの雑誌「我等」に随筆や短評を書いて活躍した。1958(昭和33)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


 ということで、装丁もご本人によるものでしょう。著者略歴より、相当オシャレな文化人であったようで、瓦礫と復興の視点だけでなく、江戸の匂いの喪失と(この時代からすでに!)復興後の文化がアメリカナイズされるであろう文明論としても勉強になります。前書きの書き出しから「復興気分というんださうだが・・・」と市井の様子や活動を客観的に眺めています。

 以下、目次より抜粋
・門松廃止 ・復興は胃袋より ・世界第一の災禍 ・バラック遊郭 ・地震切手 ・随筆的バラック街

などなど、個別の小見出しもなかなか刺激的なタイトルが並んでいます。乞ご期待。


2)大正震災美績について
 
 本文だけでも762ページに及ぶエピソード集です。序文は大正13年当時の東京府知事 宇佐美勝夫 未曾有の被害から復興を目指した府民と支援者の美談を散逸させない為、官民あまねく聞き書きし可能な限り云々。下記の凡例により明確な調査基準が定められ、非売品である事実とあわせ、誇張の無いヒアリングだと思います。尚、編集後記には大変な苦労の痕跡が見られ、折角収集した美談が紙幅の関係で1/3を割愛する止む無きから割愛した事例のタイトルと善行者の氏名とを列挙し巻を終えています。義理堅く丁寧な仕事であり、「編集東京府」として無記名職員の真摯な顕彰作業に敬意を表します。

 凡例
 本調査は可及的遺漏なきことを期し左の標準を樹て委員を挙げ・・・中略
調査の標準について
1.職務及び責任観念より私事を犠牲にして努力したる事実
2.危難にさ愛して現わされたる美しき上層の実例
3.危難に臨み冷性沈着に大事を処理し得たる実例
4.社会公共のため特に尽卆※したる事実 ※卆の字は病ダレに卒、雰囲気は理解できました。
5.隣保共助の結果禍害を防止し得たる実例
6.報恩感謝の念を持って変災の間に挺身努力したる実例
7.訓練せられたる団体の力によりて発揮せられたる善行美談
8.遺されたる先人の行為、或いは平素の周到なる用意によりて危難を免れ得たる実例

調査の方法
1.各郡区役所、警視庁及び各警察署、戒厳司令部、陸軍人事課、憲兵隊、各町村役場および各町会、中等諸学校および小学校等に材料を求む。
2.新聞雑誌の記事に基づき其の事実を精査す。
3.各新聞に広告して一般より其の材料を求む。

 右の方法に基づき、市及び隣接郡部につきて、市内小学校長、訓導 計17名に委嘱し、庁員と相協力して調査したり。斯くして得たる資料を分かちて救命、防火、責任、愛情、救護の5篇として本巻に収録せり


 以上、訪問者様には硬い内容かつ長々とお付き合い頂きありがとうございます。
 個別のエピソードに付きましても随時ご紹介いたしますので宜しくお願いいたします。

 

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

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