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【脱皮】 西洋建築から日本近代建築へ

明治の防火計画 江戸大火を断ち切る 2011.06.06 という記事をUPしましたが、関連です。
末尾に「近代建築の挫折」と書いた部分を掘り下げます。といっても下記イベントの受講メモですが。

護国塔寄せ

可睡斎の護国塔100年展 伊東忠太 という案内記事をエントリしたまま、参加レポートを書いていませんでした。

開催日が3/12ということもあり、開催も危ぶまれましたが、折角 建築史家 倉片俊輔先生を講師に招くイベントであり、内容を建築耐震の歴史に変更して実施されました。尚、原田 袋井市長が来賓として挨拶をされていきましたが、未曾有の震災・津波の翌日であり、袋井市災害対策本部長の立場で作業着で臨戦態勢。市としては津波に対する避難勧告を出さなかったのですが、水位の安全性の確認とパニック回避などのギリギリの選択をされていたようです。もう一軒、市のイベントに顔を出し庁舎にとんぼ返りというタイトな日程だったようです。ご公務お疲れ様でした。

護国塔100 護国塔斜 可睡斎護国塔

まずは日本建築史の大雑把な流れから。
第一世代は明治10年のお雇い外国人 ジョサイヤ・コンデル にはじまる。鹿鳴館・帝室博物館・海軍省などの政府系や三菱財閥関連。

第2世代 辰野金吾らコンデルの1期生。東京駅や日本銀行など。

第3世代 が辰野金吾に師事した伊東忠太らになります。

さて、この第3世代が学生時代の明治24年に濃尾大震災 M8.0が発生します。このことが若き西洋建築家の挫折と呼ぶ部分。
レンガ造りの脆さと即死性の増大は、「古来からの大工と木造でよいじゃないか」と罹災者より批難を浴びます。これは、先の「明治の防火計画」の記事でも触れた、頑丈で火に強い西洋化を目指した建築家たちのアイデンティティにかかわる大問題と受け止められます。忠太青年らは被災地を視察し「浮世の旅」として大地震見聞録をまとめ、のち「地震とレンガ造家屋」を上梓します。


従来の建築学の欠点、あるいは盲点を克服し、日本の風土に合致した近代建築(西洋建築に非ず)を模索する転換点です。

地震の少ない大陸で発展した為、西洋のテキストに「耐震」の項目は無い。濃尾震災が日本の構造・耐震工学の基点になる。佐野利器(としかた)という日本耐震工学の父は関東大震災後、1923年(大正12年)から帝都復興院理事に就任し、関東大震災後の復興事業・土地区画整理事業を推進したが、この護国塔の構造設計も担当している。

これまで建築家の学位はお雇いコンデル先生のイギリスを始め、ヨーロッパに留学したか否かにかかっていました。建築家に限らす、公費で欧米を吸収することの動機よりも「いってきたよ」の事実のみが目的化した(余りにも日本人らしい)問題で、濃尾地震で顕在化するまでは想定外の、、、福島の騒ぎと同根ですね。

さて、こんな出世への常識が蔓延っていた時代に、忠太青年は「なぜ日本で西洋建築か?」「日本に相応しい建築は同あるべきか?」のそもそも論に悩み、この「そもそも論」は日本建築史の元祖として法隆寺が世界最古の木造建築であり飛鳥様式であるとの発見につながります。古来の日本建築を西洋の手法で評価することを確立しました。そして当時は論外であった「アジアでのフィールドワーク」に挑みます。勿論公費で、海路陸路をアジア経由でヨーロッパ~アメリカ~太平洋から帰国という奇手を使って世界一周のチャンスを作りました。ヨーロッパでは余禄もあり。日本の建築学界が重厚なゴシック建築を追いかけるうちに西洋はアールヌーボーという次のデザインに入っています。猿真似よりも日本独自の様式を!と「建築進化論」をものしたのでした。建築は文化文明に沿うべきで、進化主義とは、判断基準は自国にある、活用すべき技術を採用するのだと。

・・・ここまでが講義内容。その後護国塔を視察。護国塔という性質上なかなか入れない内部も参加者で御参りの上、立ち入ることが出来ました。

護国塔地下
護国塔奉納

伊東忠太の「そもそも論」は、関東大震災を受け焼失した神社の不燃耐震化を促しました。

神社は木造に限るという常識を覆した神田神社の社殿は、1944(昭和19)年には空襲で油脂焼夷弾を多数受けたが消し止めることができ、その不燃化性能の高さを証明した。そして、敗戦後も変わることなく屹然と聳える神社の姿を仰いだ多くの人が、復興の希望と勇気を見出したという。関東大震災後の神田神社から始まった神社の不燃耐震化は、災害が多発する都市の神社における優れた先駆的事例として全国に広まり、現在では多くの神社が採用するようになった。

中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」のページ  内閣府 より引用。

さて、ここまでは近代日本建築を大いに飛躍させた”新進建築家”の系譜。江戸から大工の棟梁も嬉々として和洋折衷の大工仕事をひねり出します。次回は宮大工の西洋建築風をご紹介します。

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