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老朽消火器の管理者責任について

関西の消火器メーカーさんから頂戴した記事です。中部地区では中日新聞に小さい扱いで出ていた程度だそうで、気になっていた事故の続報です。エロちゃんありがとう。

消火器破裂「危険周知怠る」被害少年が国提訴へ
事故があった駐車場で消火器を調べる捜査員ら(2009年9月、大阪市東成区で)

 大阪市東成区で2009年9月、屋外駐車場に放置されていた消火器が破裂して一時重体となった少年(13)(当時は小学4年)が、老朽化した消火器の危険性についての注意喚起が不十分だったとして、国やメーカー、メーカー団体の日本消火器工業会(東京)などを相手取り、計約9200万円の損害賠償を求める訴訟を5日にも大阪地裁に起こすことがわかった。消火器の破裂事故は各地で起きているが、代理人の田中俊弁護士(大阪弁護士会)によると、国の過失責任を問う裁判は初めて。

 訴状によると、破裂したのは1989年製の「加圧式消火器」。メーカー側は耐用年数をおおむね8年としていたが、屋外駐車場に置かれた90年5月以降、20年近く点検されず、野ざらしの状態だった。現場で遊んでいて消火器に触れ、事故に遭った少年は、頭を骨折し、高次脳機能障害で集中力が続かないなどの後遺症があるという。

 加圧式消火器は、レバーを握ると容器内にガスが一気に充満し、圧力で消火薬剤が噴出する仕組み。容器内のガスの圧力が一定に保たれる「蓄圧式」に比べ、容器底部などに腐食や劣化があると急激な圧力上昇で破裂する危険性が高い。総務省消防庁のまとめでは、88年末までに起きた57件の死傷事故の大半は加圧式だったという。

 このため少年側は、国などは破裂の危険性を89年の製造時点で認識しており、事故を防止する義務があったのに、消火器本体に〈1〉破裂についての警告〈2〉点検・廃棄を促す具体的な注意書き――を表示させ、危険性を周知するなどの対策を怠った、と主張する方針だ。
 国は、この事故を受け、11年1月に使用上の注意、廃棄時の連絡先などを具体的に表示するよう省令を改正。腐食がある場合は、点検業者らを通じて耐圧性能を確かめることも義務付けた。破裂の危険性については、メーカーの判断で明記している製品もあるが、表示は義務付けられていない。

 事故の起きた消火器には「さび、腐食があるものは危険」とする注意書きはあったが、破裂についての記載はなかった。田中弁護士は「『破裂の危険がある』と大きく表示していれば事故を防げたのでは」と指摘する。

 訴訟では、駐車場管理者だった男性についても「消火器を撤去させるなどの防止措置を取らなかった」として被告に含める方針。この男性は業務上過失傷害罪で在宅起訴され、大阪地裁で昨年12月、罰金50万円の有罪判決が確定している。

耐用年数超過1千万本か
 消火器はオフィスや家庭などで広く使われているが、老朽化した製品がどれだけ放置されたままになっているか、実態把握は困難なのが現状だ。
 日本消火器工業会によると、消火器の年間生産数は約400万~500万本。このうち、安全性が高いとされる蓄圧式の割合は、大阪の事故当時(2009年度)は17%だったが、その後急増し、今年度は60%を超える見込みという。
 また、老朽化した消火器の回収法は10年1月、各メーカーが自社製品を回収する方式から、自社製品に限らず一括回収できるよう改められ、回収窓口が販売店にも広げられた。昨年度は事故前年度の1・5倍となる303万本が回収された。現在、普及している消火器は約5000万本あるとみられ、このうち耐用年数を過ぎた製品は「1000万本を超えるのでは」と、ある消防機関の担当者は指摘する。

 総務省消防庁によると、大阪での事故以降も、死傷者の出る破裂事故が全国で8件発生。10年2月、滋賀県の運送会社で、レバーを操作した男性所長が軽傷を負ったほか、昨年9月には、大分県で消火器を解体しようとした男性が死亡した。8件とも加圧式で、製造年不明の1件を除いて20年以上経過していた。

(2012年9月4日 読売新聞)

 事故発生当時に拙ブログでも取り上げています。
【廃棄に困る】 消火器事故について 2009-09-16
消火器事故、良い続報 2009-10-22
当初より消防行政やメーカー団体による安全性向上の取り組みを紹介しています。

 法定点検が定められている施設では、我々点検業者によるチェックと買い替え時期のアドバイスなど、細心の注意を払っていますが、引用記事にも着色した通り、放置され管理されない状態のものがあります。或いは施設自体が休眠状態な場合もあるでしょう。以前より年に数回、老朽化消火器の破裂による事故があり、メーカー団体である【日本消火器工業会】などで、耐用年数の明記や廃棄の手引きなど、広報に力を入れ、事故が減ってきたと思った矢先のタイミングです。(再掲)
 正直なところ、無理筋な訴訟という印象はあります。勝手によそ様に入っちゃイカン。よそのモノを勝手にいじっちゃいけねえ。しつけの問題だと思いますが。不法侵入、器物損壊、勝手に怪我をされてされて提訴される。ずいぶんと訴訟大国になっちまったものだと感じました。まあ、訴訟の本場であれば、駐車場の信用が落ちて契約が減ったとか、メーカーさんも信用が傷つけられたとか、事故直後には訴訟合戦になっていたのかも知れませんね。

 おそらくメーカーさんはPL法施行より法務対策が万全だと思われ。工業会としての自主的な改善経緯と取り決め。行政の事故があるたびの注意喚起の広報、現在に至るまでの法改正など、瑕疵はないと思いたい。国やメーカー、メーカー団体の日本消火器工業会(東京)などを相手取り、という部分が”無理筋”と感じた次第。当時10才だった子に記憶障害など後遺症が残って、中学生に。その間に保護者としてやりきれない思いが募ったのかもしれません。誤解を恐れずに書いてしまえば、学校内での不慮の事故とか、どう見ても本人と家庭のしつけの問題としか思えないものも学校や市が和解金を安易に支払って謝罪してしまう。怪我をしたから弱者だ、管理責任は自治体にあるという流れが好きではありません。特に和解金の出所が税金だと思えば、「おたく、どんな教育をしてるんだ」と事実関係を把握しているならば胸を張ってほしいと思います。

 と、すみません。ここまでは本件訴訟の事実関係ではなく、近年の風潮全般に対する個人的な印象で書いています。いずれにしろこういった状況のなかで50万円の罰金とともに有罪とされた管理責任者ですが、今回の被告にも含められてしまいました。メーカーの取扱説明にない保管方法と、危険な状態で放置していたことが弱点になりそうでしょうか。

 先日ISOコンサルタントの方と世間話の中で、14000シリーズはコンプライアンスの整理から着手するが、消防法による維持管理に問題がある、適切に点検報告されていないクライアントが思いのほか多いそうです。ISOのような公的認証にチャレンジすることであわてて消防専門業者を探すことになる一方、公的認証にチャレンジする必要のないお会社の中に、「耐用年数超過1千万本か 」という老朽消火器が含まれるのでしょう。実際に30年以上前の消火器を設置しているビックリするような大企業を知っています。こちらにも一生懸命、老朽消火器を安全なものに更新するようお願いしていますが、消防行政の指導や消火器工業会の啓発とともに、我々消防専門業者の説明不足、力量不足も反省するところ。

ここで、事故になってしまった破裂の恐れがある消火器(加圧式)と、急速に切り替えが進む安全性の高い(蓄圧式)の比較動画を。Youtubeです。

関連;ご家庭の消火器、大丈夫ですか? 2010-12-01
・・・ところで、関連記事とか消火器に関する過去の原稿を見たら「スポンサーサーチ」とかって、勝手に消火器通販サイトが張り付いてきていますね。向こうもロボットで「消火器」というキーワードを見つけて自動的に張り付いてくるシステムなんだろうけど。消火器という性質上、通販は避けたほうが良いと思いますよ。。。

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